顎関節症
- Q顎の音がするだけで痛みがないのですが、治療は必要ですか?
- A顎の音がするだけで痛みがない場合でも、顎関節症の可能性があります。初期の段階であれば、経過観察や生活習慣の改善指導で様子を見ることもありますが、放置すると痛みを伴うようになったり、口が開かなくなったりするリスクもゼロではありません。特に音が大きくなったり、他の症状(開口障害など)を伴うようになった場合は、早めに受診されることをお勧めします。
- Qマウスピースはどれくらいの期間、使う必要がありますか?
- Aマウスピースの使用期間は、顎関節症の症状のタイプや重症度、改善の状況によって個人差があります。一般的には、症状が落ち着くまで数ヶ月から半年程度、あるいは症状の再発予防のために長期的に使用していただくこともあります。治療の進捗に合わせて、歯科医師が適切な使用期間と頻度を指導いたします。
- Q歯ぎしりや食いしばりは、どうしたらやめられますか?
- A歯ぎしりや食いしばりは、無意識に行われることが多いため、完全にやめるのは難しいかもしれません。しかし、意識的に減らす努力をすることは可能です。
意識化: 日中、歯を食いしばっていることに気づいたら、意識的に力を抜くようにしましょう。
リラックス: ストレスが原因の場合が多いので、リラックスできる時間を作る、適度な運動をするなど、ストレスを軽減する工夫を取り入れてみてください。
マウスピース: 就寝中の歯ぎしり・食いしばりには、マウスピースが非常に有効です。顎関節や歯への負担を軽減できます。
当院では、生活習慣の改善に関する具体的なアドバイスも行っています。 - Q顎関節症は、自然に治ることもありますか?
- A顎関節症の症状は、一時的なストレスや疲労が原因で軽度な場合は、自然に改善することもあります。
しかし、症状が2週間以上続く場合や、悪化している場合は、自己判断せずに歯科医院を受診することが大切です。
特に口が開かなくなる「ロック」の状態や、強い痛みを伴う場合は、早急な受診が必要です。 - Q顎関節症の治療に保険は適用されますか?
- Aはい、顎関節症の診断と治療の多くは、健康保険が適用されます。
初診料、検査費用(レントゲン、CT)、投薬、マウスピースの作製など、保険診療で対応できるものがほとんどです。

「口を開けるとカクッと音がする」
「朝起きるとあごがだるい」
「口が開きづらい」
「あごに痛みがある」
このようなお悩みがある方、それはもしかすると顎関節症(がくかんせつしょう)かもしれません。
顎の不調は、日常生活の質を大きく低下させてしまうことがあります。
一方で、
「顎関節症かもしれないけど、どこに相談したらいいかわからない」
「歯医者さんで診てもらえるの?」
と、不安を感じていらっしゃる方も多いかと思います。
顎関節症は、顎関節やその周辺組織に問題が生じたもので、歯科医院の中でも口腔外科が専門となります。
当院では日本口腔外科学会認定医による専門的な顎関節症の診査・診断・治療を行っています。
大学病院の口腔外科で長年培ってきた知識と経験を活かし、患者様一人ひとりの症状に寄り添った、最適な治療をご提案いたします。
あごの症状でお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。
顎関節症とは?:顎の痛みや不調で悩む方へ

顎関節症は、顎の関節(顎関節)や、顎を動かす筋肉(咀嚼筋)、または両方に不調が生じることで、様々な症状が現れる病気の総称です。
国民の約2人に1人が何らかの顎関節症の症状を経験すると言われるほど、非常に身近な疾患ですが、その症状や原因は人によって多岐にわたります。
顎関節症の主な症状
顎関節症の症状は、大きく分けて以下の3つが代表的です。
これらの症状が単独で現れることもあれば、複数同時に現れることもあります。
顎の痛み(疼痛)
口を開け閉めするとき、食事をするとき、会話をするときなどに顎の関節やその周りの筋肉が痛む。
あくびをしたときや、朝起きたときに顎の周りがだるく感じる。
歯を噛みしめると痛みが強くなる。
耳の前に痛みを感じることもある(顎関節は耳のすぐ近くにあります)。
顎の音(関節雑音)
口を開け閉めする際に、「カクカク」「パキッ」「ジャリジャリ」「ミシミシ」といった音がする。
音がするだけで痛みがない場合もあるが、進行すると痛みや開口障害を伴うことがある。
これらの音は、顎関節の中にある「関節円板」というクッションのような組織がずれて、骨と骨が擦れ合うことで発生することが多い。
口が開けにくい(開口障害)
口を大きく開けられない(指2~3本分も開かない)。
口を開けようとすると途中で引っかかる感じがする、スムーズに開閉できない。
突然、口が開かなくなる「ロック」(クローズドロック)の状態になることがある。
食事がしづらくなる、歯磨きがしにくくなるなど、日常生活に支障をきたす。
当院が提供する「顎関節症治療」:専門知識と経験に基づくアプローチ

長久手フラワー歯科口腔外科・矯正歯科の院長は、日本口腔外科学会認定医です。
大学病院の口腔外科で長年にわたり、顎関節症を含む様々な顎顔面領域の疾患を診てきました。
この豊富な知識と臨床経験が、顎関節症の正確な診断と効果的な治療につながります。
なぜ口腔外科医が顎関節症に強いのか?
顎関節症は、その病態が非常に複雑で、単なる歯の問題だけでなく、顎の骨、関節、筋肉、神経、そして全身的な要因(ストレス、姿勢など)が絡み合って発症します。
口腔外科医は、これらの顎顔面領域の解剖学、生理学、病理学に精通しており、以下の点で顎関節症治療に強みを持っています。
総合的な診断力
顎関節だけでなく、咀嚼筋、歯並び、噛み合わせ、さらには全身の姿勢やストレス要因まで含めて、多角的に症状の原因を探ることができます。
多様な治療法の選択肢
保存療法から外科的処置まで、幅広い治療オプションの中から、患者様の症状と病態に最適な治療法を選択し、提案できます。
外科的処置への対応
特に、口が開かなくなる「ロック」の状態や、保存療法では改善しない重症例に対して、口腔外科的な処置(マニピュレーション、関節腔内洗浄など)を安全に行うことができます。
他科連携の知識
顎関節症は、心療内科、整形外科、耳鼻咽喉科など、他の診療科との連携が必要となる場合もあります。
口腔外科医は、これらの連携を適切に行うための知識と経験を持っています。
長久手フラワー歯科口腔外科・矯正歯科の顎関節症治療メニュー
当院では、患者様一人ひとりの顎関節症の症状や原因、重症度に合わせて、最適な治療法を組み合わせて提供します。
基本的には、外科手術を伴わない「保存療法」を主体に治療を進めていきます。
マウスピース療法(スプリント療法)

顎関節症治療において、最も一般的な治療法の一つです。
患者様の歯型に合わせて、透明なプラスチック製のカスタムメイドのマウスピース(スプリント)を作製し、主に就寝中に装着していただきます。
注意点としては、マウスピースはあくまで症状を緩和させるためのものであり、根本的な原因を解決するものではないことがほとんどです。
定期的な調整や、他の治療法との併用が重要です。
効果
歯ぎしり・食いしばりからの保護
スプリントが歯と歯の間にクッションとなることで、歯や顎関節への過度な力を分散・吸収し、ダメージを軽減します。
顎関節への負担軽減
噛み合わせのバランスを整えることで、顎関節への偏った負担を減らし、関節の回復を促します。
咀嚼筋の安静
顎の筋肉の緊張を緩和し、リラックスさせる効果があります。
関節円板のずれの修正
特定のタイプの顎関節症では、スプリントの形状を工夫することで、ずれた関節円板を正しい位置に戻す効果も期待できます。
投薬療法
顎の痛みや炎症、筋肉の緊張が強い場合に、症状を和らげるために薬を処方します。
投薬は、症状の緩和に効果的ですが、根本的な解決には生活習慣の改善や他の治療法との併用が不可欠です。
痛みを抑え、炎症を和らげる効果があります。 筋弛緩剤
顎の筋肉の過緊張を和らげ、痛みを軽減する効果があります。
マニュピレーション(徒手整復術):顎のロックを解除
顎関節症の症状の中でも、口が突然開かなくなってしまう「ロック」(クローズドロック)の状態は、非常に不便で不安なものです。
このような場合、マニュピレーション(徒手整復術)という手技で顎のロックを解除できることがあります。
日本口腔外科学会認定医である院長が、手で患者様の顎をゆっくりと動かし、ずれて引っかかっている関節円板を正しい位置に戻すことを試みる手技です。
ロックが解除されると、再び口を大きく開けられるようになり、痛みも軽減することが期待できます。
ただし、ロックが解除された後も、再発を防ぐためにマウスピース治療や生活習慣の改善、リハビリテーションを継続することが重要です。
物理療法・理学療法
顎関節や咀嚼筋の痛みを和らげ、機能回復を促すために、患者様ご自身で行っていただくトレーニングや、物理的な刺激を与える治療です。
当院では、下記のような療法を患者様のご自宅でも継続できるよう、具体的な方法や注意点を丁寧に指導いたします。
温湿布・冷湿布
痛みが強い場合は冷湿布、筋肉の凝りには温湿布が効果的です。
マッサージ
顎周辺の筋肉を優しくマッサージすることで、血行を促進し、筋肉の緊張を和らげます。
開口訓練
口が開けにくい場合に、少しずつ口を開ける練習をすることで、可動域を広げます。
無理のない範囲で、ゆっくりと行うことが大切です。
生活習慣の改善指導
顎関節症の多くは、日常生活の中にある習慣が深く関わっています。
これらの習慣を見直すことは、症状の改善と再発予防に非常に重要です。
歯ぎしり・食いしばりの意識化
普段、無意識に行っている歯ぎしりや食いしばりを意識し、やめる努力をします。日中の噛みしめ癖にも注意が必要です。
片側噛み癖の改善
左右の歯で均等に噛むように意識します。
頬杖・うつ伏せ寝の禁止
顎に不自然な圧力がかかる癖をやめます。
姿勢の改善
猫背にならないよう、正しい姿勢を意識します。
ストレスマネジメント
ストレスを溜めないように、リラックスできる時間を作る、適度な運動をするなど、ストレスを軽減する方法を見つけることが大切です。
食事の工夫
症状が強い時は、硬いものや弾力のある食べ物を避け、柔らかいものを摂るようにしましょう。
広げすぎない
あくびをする際や、歯科治療で口を開ける際に、無理に大きく口を開けすぎないように注意します。
噛み合わせの調整(咬合調整)
上述の保存療法で症状が改善しない場合や、明確な噛み合わせの問題が顎関節症の原因となっていると診断された場合に検討します。
当院では、院長が口腔外科の専門家として、顎関節の機能を最優先に考え、患者様にとって最適な噛み合わせの調整を提案します。
詰め物・被せ物の調整
不適合な詰め物や被せ物がある場合、それらを調整したり、必要に応じて新しいものに作り直したりします。
歯並びの治療
歯並びが顎関節に負担をかけている場合は、矯正治療を検討することもあります。
抜歯や補綴の検討
親知らずが噛み合わせに悪影響を与えている場合や、抜歯後のスペースを補う必要がある場合に検討します。
顎関節症に関するよくあるご質問