歯根端切除術
- Q歯根端切除術は、痛いですか?
- A手術中は、局所麻酔をしっかり行いますので、痛みを感じることはほとんどありません。当院では、表面麻酔、極細針の使用など、麻酔時の痛みを軽減するための工夫を徹底しています。術後、麻酔が切れると痛みを感じることもありますが、処方する痛み止めで十分にコントロールできます。痛みに対する不安がある場合は、事前にご相談ください。
- Q手術時間はどのくらいかかりますか?
- A歯の部位や、病変の大きさ、歯根の複雑さによって異なりますが、一般的には30分から1時間程度で終了することが多いです。麻酔や準備、術後の説明を含めると、全体で1時間半〜2時間程度を見込んでいただくと良いでしょう。
- Q手術後、腫れたりしますか?
- A個人差はありますが、抜歯と同様に、手術部位が一時的に腫れることがあります。腫れのピークは術後2~3日目で、その後1週間程度で徐々に引いていきます。
- Q手術後、食事はできますか?
- A手術直後は麻酔が効いているため、唇や舌を噛んでしまうリスクがありますので、食事は控えてください。麻酔が切れてからは、刺激の少ない柔らかいものを、手術した反対側で噛むようにしていただくことをお勧めします。翌日以降、徐々に通常の食事に戻していくことができますが、硬いものや熱いもの、辛いものなどは避けてください。
- Q歯根端切除術は、必ず成功しますか?
- A当院の歯根端切除術は、約94〜96%という高い治癒率を誇っていますが、100%の成功を保証するものではありません。歯の根の形態、病巣の大きさ、患者様の全身状態、術後のケアなど、様々な要因によって治癒の程度は異なります。しかし、私自身が日本口腔外科学会認定医として、専門的にこの治療に携わり、MTAセメントなどの最新の材料を使用することで、可能な限り高い成功率を目指しています。
- Q保険診療で歯根端切除術は受けられますか?
- A歯根端切除術自体は保険適用となる場合があります。しかし、当院では、歯根端切除術の成功率を最大限に高めるため、MTAセメントという高品質な材料を逆根管充填に使用しており、このMTAセメントが保険適用外の材料であるため、当院での歯根端切除術は自費治療となります。費用については、治療計画をご説明する際に明確にご提示いたしますのでご安心ください。
(MTAセメントを使用しない場合は保険診療の適応になります)

「歯の根の先に膿がたまっていると言われた」
「何度根管治療をしても痛みが引かない」
「抜歯しかないと言われたけど、どうしても歯を残したい」
そんなお悩みをお持ちの方も多いかと思います。
根管治療は、むし歯が歯の神経まで進行してしまった場合や、すでに神経が死んでしまった場合に、歯を残すために非常に重要な治療です。
しかし、中には、通常の根管治療だけでは治りにくい、あるいは再発を繰り返してしまうケースがあります。
長久手フラワー歯科口腔外科・矯正歯科では、歯の根の治療の中でも特に専門性の高い「歯根端切除術(しこんたんせつじょじゅつ)」に力を入れています。
当院院長は大学病院の口腔外科でこの分野を専門的に学び、数多くの症例を経験し、この治療に関する論文も執筆してきました。
この治療は、通常の根管治療では届かない、あるいは原因を特定しにくい歯の根の先の病変を、外科的に直接取り除き、歯を抜かずに保存するための最終手段とも言える治療です。
この歯根端切除術には適切な技術と処置の下では約94〜96%という高い治癒率を誇っており、多くの患者様の歯を救うことができています。
患者様の「歯を残したい」という強い思いに応えるため、最新の設備と確かな技術で、皆様の歯の健康をサポートいたします。
「この歯、もうダメだと思ってた…」と諦める前に、ぜひ一度、長久手フラワー歯科口腔外科・矯正歯科にご相談ください。
歯根端切除術とは?:歯を残すための「最後の砦」
歯根端切除術(しこんたんせつじょじゅつ)は、通常の根管治療(歯の神経の治療)では治癒が難しい、あるいは再発を繰り返してしまう歯の根の先の病変(歯根嚢胞や根尖病巣など)に対して、外科的に直接アプローチし、病巣を取り除くとともに、歯の根の先端を一部切除して、歯を残すための治療法です。

歯の根の病気と通常の根管治療

むし歯が進行して歯の神経(歯髄)まで達すると、神経が細菌に感染し、炎症を起こしたり、死んでしまったりします。
この感染がさらに進行すると、歯の根の先端から顎の骨の中に広がり、膿の袋(歯根嚢胞)や炎症(根尖病巣)を形成します。
通常の根管治療では、歯の頭の部分から、歯の根の中にある細い管(根管)に入り込み、感染した神経や汚染された組織を取り除き、根管内をきれいに洗浄・消毒し、薬剤で緊密に詰めて密封します。
これにより、歯の根の先の病巣が治癒していくことを目指します。
なぜ通常の根管治療で治らないことがあるのか?

多くのケースで根管治療は成功しますが、以下のような理由で、何度治療をしても病巣が治らなかったり、再発してしまったりすることがあります。
根管の複雑な形状
根管は非常に細く、複雑に枝分かれしていたり、湾曲していたりすることがあります。
そのため、器具が届きにくく、根管内の細菌を完全に除去しきれない場合があります。
根尖病巣の大きさや種類
歯の根の先にできた病巣が非常に大きい場合や、骨の中に広範囲に及んでいる場合、また、通常の細菌感染とは異なる原因(例えば、嚢胞など)である場合、根管治療だけでは治癒が難しいことがあります。
根管の石灰化や閉塞
根管が非常に細く、石灰化しているために、器具が根の先端まで到達できない場合があります。
根管の未処置部分
根管治療中に、根管の一部が未処置のまま残ってしまい、そこに細菌が残存してしまうことがあります。
過去の治療の再感染
以前に根管治療を受けた歯でも、詰め物や被せ物の隙間から細菌が再感染したり、根管の再治療で細菌が除去しきれなかったりすることがあります。
このような場合、これ以上根管治療を繰り返しても効果が見込めず、「抜歯」を勧められることが少なくありません。
ですが、歯根端切除術を行うことで、このような状況でも歯を抜かずに保存できる可能性を広げることが出来ます。
歯根端切除術が適応となるケースと、抜歯以外の選択肢
「抜歯」と診断されても、歯根端切除術によって歯を残せる可能性があります。
しかし、全てのケースで歯根端切除術が適応となるわけではありません。
歯根端切除術が適応となる主なケース
通常の根管治療では治癒しない根尖病巣
何度も根管治療を行ったが、歯の根の先の膿や炎症が改善しない、あるいは再発を繰り返す場合。
根管が極端に狭窄していたり、石灰化していて、通常の器具が根の先端まで届かない場合。
根管内に除去できない異物(過去の治療で使用した器具の破片など)が残っている場合。
根管の複雑な解剖学的形態
歯の根の先端が複雑に枝分かれしているなど、根管の構造が複雑で、従来の治療では感染源を完全に除去できない場合。
被せ物を除去したくない場合
すでに精度の高い被せ物(クラウン)が入っており、それを除去して再治療を行うと、その被せ物を再作製する手間や費用がかかる場合。
高額なセラミッククラウンなどが入っている場合、歯根端切除術を選択することで、被せ物を温存できることがあります。
嚢胞(のうほう)の存在
歯の根の先に、歯根嚢胞と呼ばれる比較的大きな膿の袋が形成されている場合。
嚢胞は根管治療だけでは完全に治癒しにくいことがあります。
抜歯を避けたい場合
何としてでも自分の歯を残したいという患者様の強いご希望がある場合。
歯根端切除術が不適応となるケース
歯の根が大きく破折している場合
縦に割れている(垂直的歯根破折)場合など、歯の保存が困難なケース。
歯周病が進行している場合
歯を支える骨の大部分が溶けてしまっている場合、歯を残しても長期的な予後が望めないことがあります。
根の長さが極端に短い場合
歯根を切除することで、歯が短くなり、歯を支える力が弱くなってしまう場合。
手術部位のアクセスが非常に困難な場合
親知らずのさらに奥など、外科的アプローチが極めて難しい部位。
全身疾患がある場合
重度の全身疾患があり、外科手術がリスクとなる場合。
歯根端切除術に用いる「MTAセメント」とは?(自費治療となる理由)

歯根端切除術の成功率を大きく左右する重要な要素の一つが、切除した歯根の先端に充填する材料です。
当院では、この「MTAセメント」を積極的に使用しており、これが自費治療となる理由の一つでもあります。
MTAセメントとは?
MTAセメント(Mineral Trioxide Aggregate:ミネラル三酸化物集合体)は、近年歯科医療の分野で注目されている画期的な生体材料です。主に、水酸化カルシウム、ケイ酸カルシウム、酸化ビスマスなどから構成されています。
生体親和性が高く、封鎖性に優れているため、再感染のリスクを低減し、骨の再生を促す効果が期待できます。
MTAセメントの主な特徴とメリット
優れた生体親和性(体に優しい)
体の組織に非常に馴染みやすく、アレルギー反応や拒絶反応がほとんどありません。
骨やセメント質(歯根の表面を覆う組織)の再生を促す作用があるため、治癒を促進します。
高い封鎖性(細菌の侵入を防ぐ)
固まる際にわずかに膨張し、歯の根の壁にぴったりと密着するため、細菌の侵入を強力に防ぎます。
これにより、再感染のリスクを大幅に低減し、治療の成功率を高めます。
湿潤環境(湿った状態)でも硬化するため、口腔内の湿気がある環境でも安定した封鎖性を発揮します。
抗菌作用
強いアルカリ性を示すため、細菌の増殖を抑制する効果が期待できます。
操作性
細かい作業が求められる歯根端切除術において、適切な硬化時間と操作性を持つため、精密な充填が可能です。
従来の材料(アマルガムやスーパーEBAなど)と比較して、MTAセメントはこれらの点で非常に優れており、歯根端切除術の治癒率向上に大きく貢献しています。
歯根端切除術に関するよくあるご質問